■ CD 「le hamon 」 解説2010.4.27

今回のbookletには、曲名、使用楽器などの解説はありますが、ページ数の関係で楽曲解説は書いてありませんので、ここで少し解説をさせていただきたいと思います。


まずhamon ソロ
これは、前回のCDとちがって、最近の私のライブに近い内容です。
ここ数年のライブでまとまってきた内容となっていますので即興とはいえ、かなり楽曲らしくなっています。

1,4、5、がコンサートのときの録音です。
1、に足音が入っていますが、楕円型のhamonの音が会場いっぱいに気持ちよく響いていますので採用しました。(私が会場を歩きながら演奏しています。仏教でいう散華の行為にちなんで散華とタイトルをつけました)

4曲目も客席からの咳がはいっているので、どうしようかとおもったのですが、演奏が気に入ったので、入れておきました。かわいい音のする小さいhamon2個を使っています。

5曲目は、一枚目のアルバム「波紋音」にも収録されています大型ですが、5年間の間に、だいぶテンポが速くなってきています。


2.3.はスタジオ録音です。
2曲目は中型2台です。この2台を演奏していると、深い海や、深い森のなかにいるようなイメージになるので、深海、というタイトルにしました。

3曲目、異国からのというのは、小さい波紋音がアラブぽい音階だったので、そういう名前にしました。最初、Une melidie de etranger、としたのですが、フランスでは、エトランゼ、というのはネガティブなイメージがあるそうで、やめたほうがいい、と翻訳してくださったvincentさんよりアドヴァイスいただき、Une mélodie venue d’ailleur(よそから来た、きいたことのない、メロディという風な意味あいがある)にしました。日本では、エトランゼは、そんなに悪いイメージがなく、使われているので、言葉の持つイメージがそれぞれ国によって、ちがうことをおもしろい、とおもいました。



Hamon solo
1 散華       SAN-GE              3:16
2 深海       La mer profonde          5:46
3 異国のメロディ  Une mélodie venue d’ailleur   4:20
4 星の国      Le monde des étoiles        6:08
5 大河       Un fleuve paisible        9:29

次は、アラブパーカッションとのデュオです。
クリストフ・スーロンさんとは、かなり以前に、日本に来日したときにセッションしたことがあり、友人でもありますが、かなり久しぶりの共演でした。サテリット・カフェのライブでは、ちょっとギクシャクしたところもありましたが、ここでは余裕あるセッションができました。

ザルブ(筒型の太鼓)
リック(タンブリン)
ダフ(おおきなタンブリンのようなわく太鼓)
ウドウ(セラミックの壷太鼓)
それぞれのかわいくて短いデュオがライブ録音されています。


6 ザルブとhamon中型2台 
 
太鼓のソロが長いのは、私がちょっと休憩しているからです。
ここでちょこっと休憩、の約束だったのですが、彼が待てなくて、叩きだしてしまった、というわけです。

7 リックとhamon中型 

とっさの判断で、音を左手で止めて打楽器的アンサンブル的に演奏しています。
音も最小限の音だけ使っています。ソロでは、こういう使い方はあまりしないので、自分でもおもしろかったです。

8 ダフと大型hamon 大きな枠太鼓の皮の音と、鈴の音が、聞こえ、重量感もあったので、大型でセッションしてみました。

9 ウドゥと楕円hamon 壷太鼓ウドゥが比的小さい音だったので、楕円のhamonでかわいらしいセッションとなりました。

*すいません、7曲目ですが、riqがrigになっていたことが、出来上がってから判明しました。rigはまちがいで、正しくは、riqです。
    
Hamon +percussions
6 小さな会話 Petite conversation avec Zarb  7:24
7 小さな会話 Petite conversation avec Riq   2:57
8 小さな会話 Petite conversation avec Daf    4:01
9 小さな会話 Petite conversation avec Udu     3:39

次に、このスタジオのオーナーであり、演奏家でもある、ピエール・マルボさんと、大阪万博で来日したことのある、F・バッシエさんの共同制作の創作楽器・ピアノ・バッシエ・マルボ、とhamonとの共演です。
この共演で、一人では表現できない世界が展開できました。

2つの金属の共鳴ですが、微妙にhamonが東洋的で、ピアノ・バッシエ・マルボが教会の鐘のような、西洋的な響きがしていることがおわかりいただけると思います。見た目も音も西洋と東洋の共存と言う感じだったと思います。

1曲目がとても、内省的な響き、2曲目は、アクティブで熱いセッションとなりました。2曲とも一切の打ち合わせ、リハーサルなしの、一発録りです。
彼の音を聴いた瞬間に、ああ、これは現代音楽だ、とおもい
慣れ親しんだ世界だったので、とても安心して演奏できました。
私は特に一曲目の空間が広がるかんじが気に入っています。
これを聴いてCDにしたい、とおもったといっても過言ではないです。
一般の方にはちょっと抽象的な表現かもしれませんが、2つの楽器の響き、としてただただ、聴いていただければ、と思います。

Hamon + Piano Baschet- Malbos
10 静かな祈り  Prière tranquille  7:26
11 金属の共鳴  Résonance Métallique   5:36

以上、約60分くらいのCDとなっています。

私のソロとそれぞれの共演を楽しんでいただければ幸いです。


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