■ 岸田今日子さんとの仕事 | 2007.9.12 |
前回のMIXI日記でドラマの音楽のことを書いたので、昔した仕事を思い出した。 ドラマではないが、10年くらい前に岸田今日子さんの語りで ミヒャエル・エンデ原作「満月の夜の伝説」の音をやったことがあります。 そのときに演出家が大変細かい人でだったので、楽器の選定から音のつけ方まで、こと細かに指定された。 音を決める時は、まず原作を読んでからイメージするのだが、 月のイメージでピアノの高音が頭にぱっとひらめいた。 ところが、演出家がピアノを使うのに反対したので、そこを説得するところから仕事がはじまった。 ピアノといっても現代音楽的な和声を使い、動物が争うところなどでは、内部奏法といって、中の弦をスティックで引っ掻いたり、と色々とおもしろい音をつかったりした。 私は五線譜を書かないタイプなので、だいたいの音のイメージを台本に絵のように書くので、台本を見ると楽器の名前と音のイメージが言葉や 絵のようなもので暗号のように書き込んである。 一番いやだったのは、芝居関係の人に多いのだが、「用の音」を要求されたことだ。これには真っ向から対決して従わなかった。 それでも、演出というトータルな目をもった人と相談しながら時間をかけて作ったものは、それなりに「作品」としてしっかりした出来のものになり、ベテランの語りに負けないものだったと自負している。 絵本だったので、絵を担当したビネッテ・シュレーダーさんの原画をスライドで映写しながらのステージはなかなか素敵だった。 プロの照明家もつき、贅沢な公演だったが1回だけで終わってしまたのが残念だった。 岸田さんからは一切なにも注文なしで「ご自由に」というかんじが却って大女優だな〜という印象だった。 今は亡き岸田今日子さんとのなつかしい思い出である。 ************************************* 07/5/3mixi日記より |