徳島の二日目は、鴨島のnaomiさん(おばあちゃんなのだがかわいい人なのでこういう風に呼ばせていただいている)の企画である。
ここに初めて来たのは、やはり紙の作家・楡木令子さんという友人が呼んでくれたのだった。その時は、彼女の灯りの作品をありったけ並べて、真っ暗ななか演奏した。途中なにかおもしろいことしたいね、と言って、彼女が以前から自分の作品を上から落としたい、と言っていたので、演奏がクライマックスになった時に音の卵という音の出る作品を二階席からダダダダ〜〜と何十個も落としたのだった。(こういうとき、紙の作品は軽いので、怪我もなく都合よい) そのときの演奏は、なかなか刺激的なパフォーマンスだったと思う。 演奏のほうもパーカッションソロというのがあまり無いらしく、ライブ終了しても誰も帰らないで、延々2時間くらい熱気につつまれていたのが印象的だった。
今回は、和紙作家の北山満智子さんが鴨島出身ということで、北山さんの作品に、私の音を掛け合わせたらおもしろいだろう、ということから企画が始まり、それに映像のヒグマ春夫さんがからまったら、もっとおもおしろいだろう、ということで3人のコラボレーション、ということになった。
なにしろ企画してくれるnaomiさんは、おばあさんなのだが、鴨島という郷土に強い愛があり、なんとかこの土地に刺激を与えたい、という、スーパーおばあちゃんである。3人のコラボと聞いて、ウキウキしていたのだが、現実は厳しい。鴨島ではコラボレーションという言葉は耳あたらしいらしく、告知しても、コンサートほど反応がなく、がっくりしていた。 そこへ前日の阿波紙会館のパフォーマンスを見たnaomiさんは、俄然張り切って、帰宅したあと、電話やメールをしまくった、というのだから、心強い。
こういう人がいるから、嬉しいですね。 組織の力でなく、人の力ですね。それも一人の・・・。最近つくづくそのことを感じます。
で、どんなパフォーマンスだったのでしょう。
映像のヒグマさんが室内にスクリーンを張り、パフォーマンスの北山さんが、naomiさんの住まいの2階から、紙をたらし、そこへ墨で何かするらしい。着々と準備している様子を見ているうちに、なんだか上から垂れ下がっている、真っ白い紙がなにやら、那智の滝のようなご神体に見えて来た。ご神体だったら、そちらに向かって奉納演奏だな、と思い、 お客さんに背中を向けて、今日は紙(神)に向かって演奏する、というイメージが出てきた。
まずスクリーンに映像が映る、しばらくして私が入る、演奏が始まる。 墨パフォーマンスが始まるだいたいの約束の時間まで、私は少しづつ空気を暖める。ひたすら北山さんが出てくるのを待つ。その間気が抜けない。いまか、いまか、と思っていると、紙のうしろから人影が・・・そろそろだな、と思い、ますますテンション上げて演奏していると「ヤ〜!!」という掛け声とともに、彼女が墨を真っ白な紙に飛ばす。そして、隠れたとおもったら、二階に駆け上がり上からブヒャ〜〜〜〜〜と墨をバケツでかける。・・・なかなか墨あとが美しい。墨パフォーマンスはおわったが、しばらくはそのままのテンションで演奏する。もう一度出てきて、踊るかな?という一抹の予感もあたが、それはなかった。 最後に紙(神)に祈りの音を捧げて、終了。
鴨島のみなさん、3人のコラボレーションいかがでしたか? 普通のコンサートでなくて、こういうのも、たまにはいいでしょ?
おわったあとのパーティーの食事がいつもより、早く終わってしまったそうです。それはみなさんの食べるスピードが速かったらしく、naomiさんの観察によると、今日のパフォーマンスの影響でみな少々興奮していたのだろう、ということでした。
naomiさん、いつまでも鴨島のスーパーおばあちゃんでいてくださいね。
美味しいパンを作ってくれた青木さん、ありがとうございました。 会場づくりから手伝ってくれたスタッフのみなさんもありがうございました。 鴨島のみなさん、またお会いしましょう〜。
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