■ 08/8/23群馬県立館林美術館「土の音」で遊んできました。2009.1.14


「大地のちから」展で展示されている渡辺泰幸さんの「土の音」を使って、子供たちと遊んできました。

子供たち、といったって、普通の子供ではないのです。
この美術館で企画している「子どもミュージアム」という、年7回行われるワークショップなどに全部参加しなければいけない、という高いハードルの企画に募集してきたこどもたちなのです。
中には埼玉県からやってくる子供もいる、と聞きました。

そういう、いわばツワモノどもが相手でした。

今日は、13人くらい、という少人数なので、私の好きな、非体育系のWSができそうだ、ということで、土の音から、みんなが色々な音を引き出し、それぞれに短い曲を演奏してもらおう、と思った。

色々な音を引き出すのには、道具も必要だ。自宅からは、木の玉をたくさん持参したが、ワークショップ室へいったら、なんだか、バチによさそうなものが、ごろごろしていた。ペットボトル・厚紙でできた筒・マヨネーズ入れの蓋みたいなもの・などなど、これらを持って、まず自分でサウンドチェックする。
道具の次は、奏法だ。叩くだけでなく、擦る、落とすなど、色々実験する。どこの部分を叩くとどういう音がするか・・などパーカッション奏者だったら、常識のことをあれこれしておく。

さて、これらのことを、こちらから教えないで、どこまで子どもたちから引き出すことができるか、それがワークショップの成功不成功の鍵となる。
それはそのときの参加者によって、まったくちがうのだ。
だから、いつも、今日はどういう子たちがきているのか、どの子がどうようなタイプなのか、ということをすばやくキャッチしなくてはいけない。これが案外大変なことでもある。

で、館林の子供たちはどうだったか。
大変素晴らしかったのである。

まず、手だけで、叩こう、と呼びかける。
手のひら、ゲンコツ、第2関節の骨でたたいた子もいた。
「土の音」の大きな玉は、スリットが入っているので、スリットのところを叩くと、壺太鼓のような音がする。(空き瓶の口を手のひらで叩くのと同じような音です)

私からは、スリットの面積を片手で変化させて、音程を変化させる、というのだけ教えました。(音程を変化させる太鼓としては、インドのタブラ、バヤ、アフリカのトーキングドラム、中近東のダルブッカなどがあります)

次に、コルクのマレット(バチ)で叩こう、というと、
コルク側で叩くのは当たり前だが、コルク部分を上から落とす奏法、バチの柄の部分で叩く子、柄で擦る子、柄の中央を持って、微細な音を出す子、などなど、以外にも多彩な音が出た。こちらの仕事は、その微細なちがいをすばやくキャッチして、みなにちがいがわかったかな〜と気づかせることである。だから、注意深く聞いていないといけない。少人数だからできること。

ある程度のフレーズを演奏してもらうと、中に床を叩く音を混ぜている子がいた。お、おぬしなかなかできるな、と思った。その女の子は、そのあとも、他の子がやらないようなことをどんどんやる。こういうタイプは頭脳派だから、気を抜けないタイプだ。

次に、ペットボトル、厚紙の筒、など色々な小道具を選んで使わせる。
するとどうだ、ペットボトル・バンドが即できあがっているではないか。ペットボトルは、表面積が広く、軽い素材なので、とっても音が柔らかくいバチになるのだ。。やんちゃな男3人組が、いつのまにやら、セッティングも変化させて、3人でノリノリのリズムを出している。私がちょこっとだけ指導して、3人のコンビネーションを整え、立派なバンド成立。

小学3年生のいたずらぼうずが、みずから、出したりズムに私はすっかり、嬉しくなってしまい、私も入れて、とからませてもらった。このノリノリのビートにあわせて、全員がセッションし大盛り上りとなった。

最後に、パフォーマンスとして、よく使うひものついた木の玉で歩く、というのを、やってみた。これは、あまり子供に人気がないかも、とおもったがやってみたい、という男の子がいた。はるばる埼玉からやってくるという子で、一見地味なのだが、この子も曲者。
紐を持たせると、なかなかうまく歩く。最後に照れて私のほうを観るので、パフォーマーというのは、最後終わりましたよ、というところまでしっかり演じることが大事だ、と教え、音の余韻が消えるまで、じっとしていなさい、と指導した。こんなこと、経験する小学生はいないよな〜とか思いつつ、プロとして大事なことを伝授しておいた。

こんなかんじのワークショップだったのだが、この日は、私の理想のワークショップができて、とても嬉しかった。


それにしても贅沢な企画である。子供13人に対して、美術家・音楽家・学芸員・助手2人、と5人の大人がつきあったのだ。

こういう贅沢が、予算縮小という呼びかけで真っ先になくなってしまうのだろうが、ずっと続けてほしいものだ。

こちらが、群馬県立館林美術館のHPです。とても美しい美術館です。      http://www.gmat.gsn.ed.jp/index.html

       *  *  *  *

写真は、ペットボトル・バンド3人組です。
前面にいるリーダーが小3 うしろ二人が小4
堂々たる、セッテイングを見てやってください。






永田砂知子へのお問い合わせ・ご感想はこちらまで


CGI-design