ダンスのいとう由香さんと一緒に、八戸で「満月コンサート・月に踊る 月と奏でる」を無事終了してきました。
今回の会場・更上閣は、国指定の有形文化財で、明治時代の財閥・泉山家の住まいだったそうです。というわけで、日本建築の好きな私としては楽しみにしていました。
朝早く東京を出発し、お昼前には八戸へ到着。今回の主催者でオーガニックレストランをやっていらっしゃる「宙の贈り物」さんの車で、さっそく現場へ直行すると、さすが、文化財指定されるだけあって、なかなか堂々として美しい佇まいの家である。
さて、ここの空間をどう使うか、ダンスのいとうさんとあれこれ言い合う。
我々音楽家も空間を読むことは、とても大事だが、身体表現の人は、体で色々かんじなければ、演じることができないので、空間をどう読むかは切実な問題だ。時間の制限もあるので、いかに短時間で、動きのイメージを作るかが勝負だ、と言ってもいいだろう。
私は、ざっと見わたしたところ、小さな鳥居がある方向からいい空気が流れていることに気がついた。あ、あそこから始まるといいな、と思った。ダンスのいとうさんは、最初他の場所を候補に上げていたが、だんだんと 私と同じ考えになったようで、結局、その鳥居からはじまることになった。
決まったのはいいが、今日はステージを取り仕切ってくれる舞台監督がいない。 普段こんな使い方をしないので、色々なものが、そこここに置いてあり、それを、片付けたり、布で隠したり・・・こういうことをしてくれるのが、舞台監督なのだが、今回は、これらを自分たちでやり、表現の場にする。
なんとか、これで、公演ができる、と思い、ほっとして楽屋で待機する。
夕方になり、蜜蝋ローソクが点灯され、だんだん暗くなり、私は清めの音を出しながら、ゆっくりと会場を歩き回る。 場が変容し、奥のほうの鳥居から、ダンスのいとうさんが布を持って静かにゆっくりと歩くことから、舞いは始まった。
そうして、約1時間くらい、ダンスと音とのコラボは、幻想的ななか、冷やっとした空気を感じながら終了したのだった。
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