■ 09/10/2 studio4’33”2009.10.13

パリ2回目のコンサートは、ピエール・マルボさんという人のstudioで行われた。彼は現代音楽好き、ということで、ジョン・ケージの有名な無音の作品4’33”がstudioの名前になっている。彼は今年の夏、家族連れで日本に遊びに来て、私の家にも宿泊したので、親しくなってはいるが、共演は初めて。今回もパリ滞在後半は、ピエールさんの家に宿泊させてもらった。家からstudioまで徒歩でいけてとても助かった。

ここの会場は、ピエールさんの調律士という仕事柄、スタインウエイ、ヤマハ、などのグランドピアノが堂々と置いてあり、クラシックの演奏会や、レコーディングもおこなわれるので、アコースティックが、サテリットとはまったくちがい、会場を見た瞬間に、ここはクラシック風に演奏しよう、と思った。

演奏前に鳴らす音として、日本で録音してきた虫の音を流すがいいか?と聞かれた。私は演奏の前に音楽を鳴らすライブハウスのやりかたが嫌いなので、普段は無音にしてもらうことがおおいのだが、虫の音、と言われさすがケージファンだと納得してしまった。

1部が私のソロだったが、サテリットとちがい、細かいニュアンスまで隅々聞こえているのがわかる。こういう場だと、丁寧に演奏したくなるものだ。

2部は、まずクリストフとのデユオ
彼と何回か演奏しているうち、彼の好みもわかり、だんだん呼吸があってきて、この日の彼との演奏は、彼も私も満足できる、とてもかわいらしいデュオとなった。(彼はとても音を大事にする、繊細なパーカション奏者なんです)

さて、そのあと、ピエールさんとのデュオだが、彼は、ピアノ・バッシエ・マルボ、という珍しい創作ピアノを弾く。バッシエという人は、フランスで有名な創作楽器を作る人で、今回アトリエにも訪問したりしたのだが、そのことはまた別のところで詳しく説明しよう。

初めての共演だったが、リハーサルの時から、この創作ピアノとhamonは相性がよく、おもしろい二重奏ができた。普通のピアノとちがって、この楽器は倍音ばかりが聞こえる構造になっているので、倍音の多いhamonとはとてもいい音の混ざり方をする。

演奏しているピエールさんが、現代音楽好き、ということもあり、現代音楽ぽい音楽となった。私は、現代音楽から逃げて、hamonに至ったという経緯があるので、まさかhamonで現代音楽をするようになるとはまったくおもっていなかったので、このことはとても私の中では不思議であり、思いがけない音楽との出会い、であった。

だいたいは、日本でも、ガムランぽいですね〜とか、仏教的とか、時々若者からテクノですね、くらいは言われてきたけれど、現代音楽風な音楽もhamonでできる、ということを教えてくれた今回のデュオは貴重な体験となった。

そういえば、ダミアン原田さんから、hamonはメシアンスケールね、といわれたっけ。確かに時々メシアン風でもあるな〜とはおもっていたけれど、耳のいいダミアンさんは、hamonからも音程をきちんと取っていたらしい。

演奏が終わり、ワインやフロマージュ(チーズ)、ジャンボン(ハム)などが振舞われ、皆コンサートの余韻を楽しんでいる。こういところがヨーロッパのいいところかな・・。と思う。

天理に来てくれた、イタリアの作曲家・カルロさん(奥様が地歌舞の侑峰さんのお弟子さん、という関係でいらしてくださった)
ダンスしている友人夫妻、などなど、何人かの人が、ベルタンポアレや、サテリットにも来てくれたリピーターだったのは嬉しかった。

リヨンに留学中のmomokoさんが、わざわざパリのIVRYというはずれまで来てくださったのも、大変嬉しかったです。

こちらが、studioのHPです。フランス語ですが、ピエールさんのプロフィールなども書いてあります。http://www.studio433.com/



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